- ミツバチはエサとしてはちみつと花粉を食べている
- ミツバチははちみつ以外にもローヤルゼリーやプロポリスも作りだす
- 一匹の働き蜂が生涯で集めるはちみつが、ちょうどスプーン一杯分くらい
ミツバチはどうしてはちみつを集めて来るんだろう、と疑問に思ったことはありませんか?
今日はミツバチとはちみつの関係やミツバチの種類についてなど、はちみつをつくってくるミツバチのことを説明していきます。
目次
ミツバチは何のためにはちみつをつくるのか
ミツバチは何のためにはちみつをつくるのかご存知ですか?
実は、はちみつそのものがミツバチたちの大切なエサなんです。
ミツバチの食事は、はちみつと花粉です。
エネルギーをつくりだす糖を主成分とするはちみつは主食、タンパク質・ビタミン・ミネラルなどを含む花粉はおかずと例えられることもあります。
蜂がはちみつを作るのは女王蜂や人間の為というわけではなく、巣の中の蜂全体の保存食や子供のエサとして利用するために花の蜜を集め、はちみつへと加工しています。
そんな風に働き蜂はせっせとはちみつ作りを行います。
花の蜜がはちみつに変化する
働きバチが花から集めたばかりの花の蜜は、まだはちみつになっていません。
働きバチは、胃のそばにある「蜜のう」というところに花蜜を貯めて巣に帰り、巣の中で待っていた別の働きバチに口移しで蜜を渡します。
このとき、働きバチの体内の酵素の働きで、花蜜の成分であるしょ糖が果糖とブドウ糖へと変化し始めています。
その蜜を受け取った働きバチは、蜜を貯蔵するための小部屋へと運び、花蜜の水分を蒸発させるために羽ばたきで風を送ります。
ミツバチたちの巣の中は実は34℃前後という温かい環境です。
その影響もあって、集められた花の蜜は熟成・濃縮されてはちみつへと変わっていきます。
そんな風にして水分を飛ばして、約半分の量まで濃縮することで、はちみつは完成します。
このようなミツバチたちの献身的な作業があって、はちみつは作られています。
はちみつ以外にミツバチがつくるもの
ミツバチははちみつ以外にも多くのものをつくります。
どんなものがあるかご紹介します。
ローヤルゼリー
ローヤルゼリーは「ミツバチの母乳」とも言われます。
花の蜜を加工したのがはちみつですが、ローヤルゼリーは働き蜂が花粉を材料に体内で合成した分泌物です。
見た目はとろりとした乳白色の物質で、酸味が強く、蜂蜜とはまったく異なります。
ローヤルゼリーは、ミツバチの社会を維持するために欠かせない重要な食べ物です。
実は、働き蜂も女王蜂も、卵の段階では全く違いがありません。
その違いを生み出すのが、実はローヤルゼリーです。
普通の働き蜂となるメス蜂は孵化してから3日目までの、ローヤルゼリーより栄養価の低いワーカーゼリーを食べ、4日目以降、蜂蜜と花粉を食べることで働き蜂へとなります。
一方、女王蜂となるメス蜂は王台と呼ばれる特別な場所に産み落とされ、孵化してからは生涯に亘りローヤルゼリーを食べ続けます。
つまり、ローヤルゼリーは、女王蜂と次の嬢王蜂候補となる特別なミツバチだけが食べることが出来る食べ物なのです。
このように、遺伝子的に全く同じ受精卵を働き蜂と女王蜂に分かれさせてしまうローヤルゼリーは特別な食べ物だといえるでしょう
成虫となった女王蜂と働き蜂を比較すると、女王蜂は体の大きさが2~3倍、寿命が30~40倍にもなり、また、卵を産むことができない働き蜂に対して、女王蜂は毎日約1,500個もの卵を産み続けることができるなど、特徴や能力が大きく異なります。
ミツバチたちは生まれつきの“遺伝子”以上に生後の食べ物によって大きく変わってしまうのだから不思議ですね。
プロポリス
プロポリスは、ギリシャ語で「敵の侵入を防ぐ城壁」という意味で、“天然の抗菌物質”と呼ばれています。
プロポリスは、ミツバチが集めたハーブや樹木の新芽と、自分たちの唾液とを混ぜあわせて作った固形物で、ミツバチはこのプロポリスを巣内の隙間に塗り付け、巣の修理補強や外敵の侵入などを防止し、巣の中を衛生的に保つのに役立てています。
ミツバチがつくるローヤルゼリーは働きバチの分泌物なので地域などで性質が変わることはほとんどないといわれていますが、プロポリスは、ミツバチが集めてくる植物を原料として作られるため、材料となる植物によって、性質や色味も様々です。
例えば黒褐色のものや、起源となる植物によって、暗緑色のグリーン系から赤褐色のレッド系まで様々な種類があります。
プロポリスの成分は、種々の植物の樹脂とミツバチ自らの唾液とが混ぜ合わせて作られるため非常に複雑です。
元となる植物の種類や産地の違いにも大きく左右されますが、おおまかな割合では、植物樹脂が55%、ろうが30%、芳香性精油が10%、花粉が5%という成分構成となっています。
さらに細かな分類では、フラボノイド類、テルペン類、酸類、各種アミノ酸、酵素、ビタミン、多糖類、ミネラルなど300種類以上の生理学的活性がある成分を含む事が分かっています。
一匹のミツバチが生涯で集めるはちみつの量
一匹のミツバチが生涯で集められるはちみつの量がどれくらいかご存知でしょうか。
働き蜂の寿命は30日~40日程度です。
産まれてから20日ほどは巣の中での仕事を受け持つので、外で蜜を集める期間は2週間ほどです。
ミツバチは巣箱から飛び立ち、花を飛び回って花蜜を集め戻ってくるという行動を平均で1日10回程度行なっていると言われています。
一度にとってこれる花の蜜は多くても0.04g程度なので、1日に約0.4g~0.5g程度運ぶことが出来ます。
その量を20日間集めたとすると8~10gになります。
ただし、集めたばかりの蜜は水分が多い為、巣の中で濃縮されます。
そのため、実際に蜂蜜として完成する量は4g~5g程度。
これはスプーン一杯分ほどの量です。
一匹の働き蜂が生涯で集めるはちみつが、ちょうどスプーン一杯分くらいと言えるでしょう。
そんな風にたくさんのミツバチたちの頑張りがあってはちみつは作られているんですね。
ミツバチの種類
日本ではミツバチはセイヨウミツバチとニホンミツバチが有名ですが、それ以外にも存在して、全部で9種類が存在します。
セイヨウミツバチ
セイヨウミツバチは養蜂に適しているというので世界中で飼育されていますが、もともとはヨーロッパからアフリカ、中近東にかけて分布していて、24種類の亜種があります。
代表的なのはヨーロッパ北部原産のクロバチ、イタリア原産のイタリアン種、オーストラリアアルプス南部とユーゴスラビア原産のカーニオラン種、中央コーカサス地方原産のコーカシアン種です。
中でも、性格が温和で、蜜を集める能力が高くて多収が見込めるイタリアン種は、世界の各地で飼育され、養蜂の主役となっています。
日本でも最初に輸入されたセイヨウミツバチはイタリアン種でしたが、アメリカで200年飼われた後に日本に導入され、その後も様々な別亜種の血が混じり、血統的にも環境適応的にも、元亜種のそれとはかなり違った性質となっています。
トウヨウミツバチ
日本の野生種であるニホンミツバチはトウヨウミツバチの1亜種です。
トウヨウミツバチは広くアジア各地に生息し、4種の亜種があります。
ニホンミツバチはセイヨウミツバチに比べ蜜を集める量はたった5%程度と非常に少なく、また一度に色々な花から蜜を集めるため採れるはちみつは百花蜜になります。
その他のミツバチ
このほか、にアジア原産のミツバチとして7種類存在します。
- オオミツバチ
- コミツバチ
- ヒマラヤオオミツバチ
- クロコミツバチ
- サバミツバチ
- クロオビミツバチ
- キナバルヤマミツバチ
の7種類です。
しかし、これらは生息する地域もごくわずかで養蜂としてはあまり活用されていません。
はちみつをつくる他の種類の蜂
ミツバチとは違う種類で、ハリを持たないハリナシバチ(ハリナシミツバチ)もはちみつを採ることが出来ます。
日本ではあまり知られていませんが、体長3~10mmほどとミツバチよりも小型の蜂で、世界中の熱帯・亜熱帯地域に広く生息するミツバチ科の一大勢力です。
ハリナシバチはミツバチと同じ様に、巣の中に植物の蜜をためる性質があるだけでなく、巣ごとに女王を中心とした社会を作る特徴があります。
ハリナシバチの巣には、ハチの代名詞である、整然とした六角形のハニカム構造がありません。
茶色い丸いつぼのようなものが雑然とならんでいます。
その代わり、巣は、蜂の体からでた蜜蝋と、木の樹脂をまぜ合わせた天然の抗菌材料であるプロポリスがすべての材料になっています。
ハチミツもプロポリスの蜜つぼのなかで熟成しているため、独特の酸味があります。
まとめ
いかがでしたか?
今日はミツバチとはちみつの関係やミツバチの種類についてなど、ミツバチのことをご紹介しました。
はちみつはミツバチたちの働きによって少しずつ集められたものだということもお分かり頂けたと思います。
毎日食べるはちみつにもミツバチへの感謝の気持ちが湧いてきますね!