- はちみつにカビは生えない
- カビを疑う場合の多くは、糖分が結晶化したもの
- もしもはちみつが薄まった場合は発酵してお酒になってしまうことがある
はちみつにカビが生えることは基本的にはありません。
それでもカビができたらどうしよう、と不安になる方がいるかもしれません。
今日ははちみつにカビが生えない理由や、カビと間違えやすい事例をご紹介します。
目次
カビと疑われる一番の理由は「結晶」
はちみつの中に今までなかった白いものがあると、カビを疑われるかもしれません。
しかし、それは殆どの場合、はちみつの糖分が冷えて固まることによってできた「結晶」です。
はちみつは約80%の糖分と約20%の水分で構成されていますが、水分は糖と結合して存在しているためカビが利用できない状態にあります。
はちみつの糖分はブドウ糖と果糖から成っています。
結晶ができるかどうかは、ブドウ糖と果糖のバランスによってきまります。
ブドウ糖が多ければ結晶化しやすくなります。
そのため、花の種類によっても結晶の起こりやすさがあり、ナタネ→レンゲ→アカシヤ・トチの順で起こりやすいようです。
はちみつの結晶化は、保管される際の温度変化によって起こる現象です。
結晶を溶解したい場合は、蓋をゆるめて50℃〜60℃程度の加熱を行って下さい。
はちみつの主成分はブドウ糖や果糖のため、気温が下がってくると自然に結晶化してくることがあります。
その白い結晶が斑点のようにまだらに増えることもあるため、カビと勘違いしてしまうことがあります。
こういった白いものはカビや雑菌ではなく、結晶化した糖分なので、温めることで自然に溶けてなくなってしまいます。
はちみつにカビができない3つの理由
はちみつにカビができない理由は、非常に高い糖度と、低いpH、そしてはちみつそのものが持つ殺菌作用によるものだと言われています。
はちみつにカビができない理由1. 糖分が多い
はちみつは約80%がブドウ糖や果糖などの糖分で出来ており、これはジャムよりも濃い糖度です。
ミツバチたちが集めた花の蜜はここまで高い糖度はありません。
ミツバチたちが巣に持ち帰り、羽の羽ばたきで風を起こして水分を飛ばすことによって、花の蜜は濃縮されて糖度が高まるのです。
非常に高い濃度の糖分と、はちみつのもつ殺菌作用によって、雑菌が増づらい状態になるのです。
はちみつの中では、ボツリヌス菌などの芽胞という膜をもった一部の強い菌は生き残りますが、基本的には菌は増殖することはできません。
はちみつにカビができない理由2. 酸性である
はちみつはpH3.3~4.9という酸性の性質があります。
pHは数字が小さければ酸性、大きくなればアルカリ性で、はちみつはやや強めの酸性の性質を持っています。
この数字はワインやフルーツ、スポーツドリンクといった飲料と同じくらいのpHで、雑菌の繁殖の心配が低い数値です。
こういった酸性の性質を持っているため、雑菌が増えにくいのです。
はちみつにカビができない理由3. 殺菌作用がある
はちみつには殺菌作用をもつ成分が含まれています。
特に近年では、マヌカハニーなどの殺菌効果のより強いはちみつも注目を集めています。
はちみつにはもともと、花の蜜由来の殺菌効果が期待できる成分が含まれており、それが雑菌の繁殖を防いでいると考えられています。
はちみつはこのように3つの理由で雑菌の繁殖を抑えているため、カビなどの心配が限りなく少ない、強い食品と言われているのです。
ボツリヌス菌について
はちみつは強い食品であるため、雑菌が増えることはありません。
しかし前述したボツリヌス菌などの菌が僅かに含まれていることがあります。
販売されているはちみつを調査した東京都の健康安全研究センターの報告によれば、全体の98.3%のはちみつから何らかの細菌が検出されたとのことです。
しかし、含まれている菌はごくわずかなため、健康に影響を与えることはありません。
ただし、1歳未満の乳児や抗菌薬を長期間服薬している人は注意が必要です。
はちみつの細菌学的調査(平成18年度~平成29年度)
(中略)
ボツリヌス菌を含む細菌汚染状況の把握を目的に、平成18年度から平成29年度に東京都内で流通したはちみつにおける細菌数、好気性芽胞菌数および嫌気性芽胞菌数の衛生指標菌の検査を実施するとともに、食中毒起因菌であるセレウス菌、ウェルシュ菌およびボツリヌス菌の検出状況について調査を行った。
その結果、細菌数はほぼすべての検体(98.3%)で定量され、<10 – 104 cfu/gオーダーに分布し、中央値は2.1×102 cfu/gであった。
好気性芽胞菌数は<10 – 105 cfu/gオーダーに分布しており、嫌気性芽胞菌数(クロストリジウム属菌)は36.1% (26/72) の検体で1 – 1.4×101 cfu/g検出された。
ボツリヌス菌、ウェルシュ菌は検出されなかったが、セレウス菌が66.5% (115/173) の検体から検出された。
はちみつから検出されたセレウス菌が直ちに食中毒に直結するわけではないが,細菌の存在を認識し使用する必要がある。
以上の3つの理由ではちみつには菌が繁殖することはありません。
しかし、全く含まれていない訳ではないため、まだ大人のように腸内環境が整っていない1歳未満は、乳児ボツリヌス症という病気になる可能性があるのではちみつを食べさせてはいけません。
1歳を超えれば問題はないため、大人は心配ありません
はちみつは発酵することがある
はちみつの中で雑菌が繁殖することはありません。
しかし何らかの理由ではちみつが薄まると、酵母菌が繁殖してお酒になってしまうことがあります。
実は、非加熱のはちみつにはパンやお酒の発酵を助ける酵母菌が含まれていることがあるのです。
そのため、何らかの理由ではちみつが薄まったり、水分の蒸発が足りなかった場合、酵母菌が増殖して泡が出てしまうことがあります。
この泡は酵母が発酵の時に出す二酸化炭素で、アルコール発酵をしている証拠です。
はちみつで作られるお酒は、世界最古のお酒と呼ばれており、「ミード」と呼ばれます。
ミードはハネムーン(ハニームーン:蜜月)の語源にもなったお酒で、滋養強壮にも効果があると言われています。
では、発酵したはちみつは食べても害はないのでしょうか?
食べても問題はありません。
風味が少し変化しますが、人体への悪影響はなく、たくさんの水分を加えていなければ、アルコールの量もごくわずかです。
しかし長期保存や販売の面では問題があります。
発酵することによって発生した二酸化炭素によってビン内部の圧力が上昇し、液漏れやフタの吹き飛び、容器の破損などの恐れがあるので注意が必要です。
発酵を止めるには冷蔵庫で冷やすことをおすすめします。
まとめ
いかがでしたか?
今回ははちみつに白い結晶ができるとカビと見間違えやすいということや、はちみつに雑菌が繁殖することができない理由などをご紹介してきました。
に雑菌が増えることはありませんが、水分が入って薄まった場合は発酵してしまうこともあります。
酒税法違反になる場合もあるので注意して保管するようにしましょう。